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おまけ-創世神話(完全版)

Categoryゼロの刻
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あとがき代わり


FAMILIAR ~ゼロの刻~ -->説明書


   創世神話(完全版)


  


 かつて世界は一つでした。
 この世に果てはなく、神も人も同じ大地に暮らしていました。
 時間は全ての土地で等しく進み、悠久の時を楽しんでいました。
 この世のあり方に、異を唱える若者が現れるまでは。

 若者は、偉大なる最初の一人、この世のあり方を定めた最高神に会いに行きました。
 果てのない世界を探してめぐる長い旅路の果て、やっとの思いで対面を果たした若者は訴えました。

 今の世は、ひとりひとりの強さの差があまりに大きい。
 互いに触れ合うこともできず、どんなに互いを気遣っても共存の適わぬ生き物同士が、一つの大地に暮らすことを余儀なくされている。せめて、住まう場所を分けた方が皆のためではないのか。
 神は神の国へ、人は人の国へ、多種多様な種族はそれぞれ近しい性質の者同士で集まるようにする。
 安心して、各々が暮らせる場所を作ること。
 それこそが、未来に繁栄をもたらすのだ。

 
 ならば、と最高神は言いました。
 それは、若者の予期せぬ返事でした。

 ――ならば、お前が神となり民を導いてみるか?


 最高神の下に辿り着き、言葉を交わすこと。
 それが神の椅子に座るために必要な資格だったのです。



 さて、神様の椅子の座り心地はいかがでしょう。


 新しい神様は嬉々として、無数の世界、沢山の星々を生みました。
 これが本当に皆のためになるのだと信じて。

 古い神様は退く代わりに、自分が導いてきた世界の一部を貰いました。
 そこではこれまで通り、人々は強さによる分け隔てなく、一つの大地の上で暮らしてました。

 古い神様の古い理が残る、小さな世界。
 いつしかそこは、魔界と呼ばれるようになったのでした。


 たぶんこれが、魔界の始まり。
 ゼロが始まるよりも、ずっとずっと昔のこと。

 

  おわり