flower border

全ての羽根が散る前に

CategoryFAMILIAR小ネタ
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Familiar ~ナナの刻~ / 戦鳥の羽ばたき 

13072-ナナ

天と地を結ぶ次元回廊。
天の使いしか通れぬはずの道に、入り込んだ者が一人。

翼の代わりに、その手に血の滴る鉄塊を携えて。
呼吸にあわせて、回廊を支える光の結界が瞬く。
結界を支える街灯の中で、白い羽根が小さな悲鳴をあげる。

ここは界の狭間、他に人の姿はない。

小さく口ずさむは、祈りの言葉。
これより死にゆく者へ、これまでに死した者へ捧げる歌だ。
次の犠牲者が通りかかるまでの暇つぶし、聞くのは自分一人で十分。


――祈るぐらいなら、刃を捨てたらどうだ。悪魔の使いよ。

と、頭の中に声が響いた。

街灯が砕け、次元回廊が広がる。
辛うじて保たれている結界の内側に、光の筋が走った。
何者かが、門を使わずに、直接回廊に現れようとしている。

妨害しようと、悪魔の使いは大きく息を吸い込んだ。
魔力を吸われ、砕けた街灯から舞い散る白い羽根から光が失われていく。
しかし、光の筋は――召喚の魔方陣が描かれるのは止まらない。

軋んだ音をたてて、白く大きな翼が空間を裂いて、回廊へと入ってくる。
術の妨害に失敗したとしると、悪魔の使いは武器を構えた。


白く輝く大小四枚の翼が広がる。
それは万物を作り替える力を持つ光だ。
あらゆる物を創造できる代わりに、破壊を禁じられた種族の光だ。
他者の命を奪えば、その光は曇り、翼が腐り落ちてしまう生き物だ。

だから、まだやりようはあると、悪魔の使いは逃げなかった。


綺麗な四枚の翼の内側には、傷つき折れた二枚の翼。
それも広げて、声の主が姿を見せる。
その顔は、光に隠れてよく見えなかった。
おかしなことに、背中にあるはずの翼が足下から生えている。

――天の使いが全て平和主義だと思うていたか。
――戦鳥の力がなんたるか、今こそ見せようぞ。

怒りと殺意の入り交じった感情をぶつけられて、
悪魔の使いが過ちに気がついた時には遅かった。


無数の光の槍が、ただ一匹の魔物に向けて放たれた。




もひとつやる気だし&指ならし。